問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈おばあさんになるのは少し【 ① 】こころが増えることです多分〉 (松村由利子)
A. 幼気な
B. ちっぽけな
C. 透明な
D. ちぐはぐな
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解答 – Answer
C. 透明な
解説
おばあさんになるのは少し透明なこころが増えることです多分
掲出歌は、松村由利子の第三歌集『大女伝説』の連作「夏沼」に収められた一首です。
「おばあさんになる」ということを想像したときに真っ先に浮かぶのは「歳を重ねる」ということですが、この歌では「おばあさんになる」ということを「透明なこころが増えること」と定義づけています。
ここにこの一首の眼目があるわけですが、「透明なこころ」とは一体どのような心なのでしょう。
歳を重ねていくと、だんだんとあらゆる情報が蓄積されていき、どちらかといえば心は濁っていくようなイメージがあります。むしろ「透明なこころ」とは逆のイメージです。
しかし心に透明な部分が増えていくといわれると、心が浄化されるような像を思い浮かべます。結句の「多分」はまだ著者がおばあさんになっていないからそういっているのでしょうが、この断定しない詠い方に、歳を重ねる楽しみと余裕のようなものを感じる一首です。