問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈【 ① 】のごとき夕映風やみて不吉に明るきこの丘の上〉 (黒田淑子)
A. 文字盤
B. 卵黄
C. レイディオ
D. 押しピン
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解答 – Answer
B. 卵黄
解説
卵黄のごとき夕映風やみて不吉に明るきこの丘の上
掲出歌は、黒田淑子の第一歌集『丘の外燈』の連作「葡萄畠」に収められた一首です。
夕日は夕方の太陽を意味し、夕映えはその夕日を受けて照り輝くことを意味しますが、この歌における「夕映」は夕日のイメージに近いものとして詠われているのかもしれません。
それは「卵黄のごとき」という比喩が夕日の鮮やかな色彩と形状とを表しているように感じるからです。
初句から卵黄を直接的にもってきたところに、この夕映えの力強さが表現されているでしょう。そのような鮮やかさの中で、吹いていた風が止んだと続きます。そして「不吉に明るきこの丘の上」と、丘の上がクロースアップされていくのです。
明るさは何もプラスの方向ばかりではないということでしょう。「不吉に明るき」という表現によって、夕方のこの力強い明るさはたちまち不穏な気配を帯びた明るさに変わってしまいます。
そんな明るさを見ている、あるいはその中に立っている主体の心は如何ばかりだったでしょうか。
このときの明るさは主体の心境と通じるものがありますが、決して手触りがいいものとは呼べないでしょう。その手触りの悪さがよく現れた一首だと感じます。