問題 – Question
〈ひた走るわが道暗ししんしんと堪へかねたるわが道くらし〉という巻頭歌で始まる、斎藤茂吉の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『赤光』
解説
『赤光』は1913年(大正2年)に出版された、斎藤茂吉の第一歌集です。1905年(明治38年)から1913年(大正2年)までの作品が収められています。
『赤光』は、歌壇だけでなく文壇内外に一大センセーションを巻き起こしました。
師である伊藤左千夫の死の知らせを受けた際の一連「非報来」10首から始まり、「死にたまふ母」「おひろ」など、現在も多くの人々に永く読まれ語られている一連が続きます。
実は『赤光』は途中で大きな変化がありました。1921年(大正10年)、斎藤茂吉は『赤光』の改選版を刊行しました。
初版は大正2年の歌から始まる構成ですが、つまり逆年順に歌が並べられています。しかし、改選版では歌の順番を改め、時系列に並び変えました。また改選版では初版に比べ、歌の数も減っています(改選版760首)。
斎藤茂吉は歌の善し悪し、構成で気にかかるところがあったのでしょう。初版と改選版のどちらを気に入るかは読者に委ねられています。
『赤光』から五首
めん雞ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人は過ぎ行きにけり
みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞいそぐなりけれ
死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる
のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳ねの母は死にたまふなり
ゴオガンの自画像みればみちのくに山蚕殺ししその日おもほゆ