問題 – Question
〈降る雪は車のライトに浮きて見えさらさら夢の淵に積もりぬ〉という巻頭歌で始まる、中川佐和子の第一歌集は何?
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解答 – Answer
『海に向く椅子』
解説
『海に向く椅子』は1993年(平成5年)に出版された、中川佐和子の第一歌集です。
第38回角川短歌賞受賞作「夏木立」を含んでおり、一首一首の完成度が高い歌が多く収められています。特に直喩・隠喩を問わず、比喩の巧みさは著者の歌の特徴として言及されるところです。
特に後半には夫や子を詠った歌が多く登場します。家族に寄り添う歌は、確かな観察眼によって決して甘くなることはありません。
そして中国天安門を詠い朝日歌壇賞を受賞した有名歌〈なぜ銃で兵士が人を撃つのかと子が問う何が起こるのか見よ〉も本歌集に収録されています。
『海に向く椅子』から五首
かつてわれ雪を青しと思いしがひとりの他者へ傾くこころ
フロアーをtoeにて押して立つことの一本の錐ひえびえとせり
はかなくて次の言葉を探るとき 赤道直下の鯨を思え
時計より出で来て踊る人形の目線は遠き夏木立かも
なぜ銃で兵士が人を撃つのかと子が問う何が起こるのか見よ