問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈涙とはうつくしい【 ① 】 ひさびさに人と会いたる四月二日の〉 (佐藤弓生)
A. 雨
B. 事故
C. 船
D. 式
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解答 – Answer
B. 事故
解説
涙とはうつくしい事故 ひさびさに人と会いたる四月二日の
掲出歌は、佐藤弓生の第四歌集『モーヴ色のあめふる』の連作「ある四月の記憶」に収められた一首です。
「涙とはうつくしい事故」という表現に引き込まれます。
涙は時にうつくしいものですが、それを「事故」と表したところにこの一首が立ちあがってくるのです。うまく捉えられないのですが、すごく惹かれる表現です。
涙は唐突に起こる事故のようなものであるということでしょうか。いや、そのような関連付けでは足りない何かがこの一首にはあるように感じます。
「四月二日」に久しぶりに人と会ったこと、そしてそのことと「涙」は関連を帯びています。場面は場面としてこの歌を支える大切なものですが、この歌は読むほどに涙そのものがクロースアップされていき、やがて涙そのものだけが浮き上がってくる、そのような印象を受けます。
「涙とはうつくしい事故」。とても素敵な表現で、涙を見るたびにこの一首を思い出してしまいます。