麻雀の歌 #11

当ページのリンクには広告が含まれています。
麻雀の短歌

平和へいわとは平和ピンフだ それは「基本」だが平和ピンフでできる役満は無い
松木秀『RERA』

松木秀の第二歌集RERA(2010年)に収められた一首です。

麻雀の基本的な役「平和ピンフ」と、戦争や紛争がなく穏やかな状態を意味する「平和へいわ」と同じ漢字であることが基盤となっています。

平和ピンフ」の「和」はあがり(和了)を意味しており、「平和ピンフ」とは”ひらあがり”つまりシンプルなあがりを意味しています。麻雀を覚えるときに最初に覚えるといってもいいくらいの、まさに「基本」的な役です。

一方「役満」は、完成させるのが難しい、特に得点の高いあがり役のことです。

これら「平和ピンフ」と「役満」を対比させ、「平和ピンフでできる役満は無い」と詠われています。この部分だけを見た場合、麻雀の役の話でいえば、「平和ピンフでできる役満は無い」はルール上当たり前のことです。

しかし、初句二句で「平和へいわとは平和ピンフだ」と表現されることによって、この下句は麻雀だけの話ではなく広がりをもちはじめるのではないでしょうか。

つまり、「役満」を理想的なあがりとした場合、それは「基本」的なものからできるのではなく、まったく別のルートからの達成によってなされるということが示されているのでしょう。

平和へいわ」を望む声は多くあれど、その「平和へいわ」を突きつめて、「平和へいわ」から理想的な世界を目指していこうとしても、それは難しいのではないかと、この歌は語っているようにも感じます。

いいかえると、「平和ピンフ」を「平和へいわ」、「役満」を”理想的な世界”に置き換えた場合、理想的な世界は「平和へいわ」の延長線上にあるのではなく、まったく別のルートからしか達成されないのではないかと暗に示されているのではないかと思います。

麻雀の話を前面に出しながら、その背後に「平和へいわ」について同時進行で考えさせられる、そんな一首になっているのではないでしょうか。

麻雀
麻雀

♪ みなさまの応援が励みになります ♪


俳句・短歌ランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次